秩父鉄道 影森駅から散歩~圓融寺岩井堂・護国観音・大淵寺ほか~

秩父の護国観音像

秩父鉄道 影~駅からさんぽ

秩父鉄道影森駅

秩父札所を中心として寺院や神社などの名所が点在する埼玉県秩父エリア。

今回は秩父鉄道の影森駅を起点に散策します。周辺には秩父札所などの文化財も多く、市街地よりも自然豊かな名所が点在。札所二十六番圓融寺と二十七番大淵寺を中心とその関連の名所を巡ります。

徒歩のみで巡ることができる1周2時間半~3時間程度のコースですが、途中にアップダウンの激しいハイキングコースを歩くことになるため、動きやすい服装と靴がおススメです。

影森駅お散歩マップ

影森駅お散歩ルート

影森駅 ▶ 圓融寺(札所二十六番) ▶ 琴平神社 ▶ 岩井堂 ▶ 護国観音 ▶ 大淵寺(札所二十七番) ▶ 影森駅

お散歩コース

影森駅全景

今回の「駅から散歩」は秩父鉄道の影森駅。

影森駅は、秩父市街地にある御花畑駅から三峰口方面に1駅の場所ですので、比較的訪れやすい場所にあります。秩父駅や御花畑駅に比べると、周囲の山々も迫っているのでよりローカルな雰囲気。

影森駅の徒歩圏内には、秩父三十四観音霊場の札所が2カ所あります。ひとつは圓融寺、もうひとつは大淵寺というお寺です。

どちらも訪問しますが、まずは圓融寺を目指します。

影森の町並み

影森駅から圓融寺までの所要時間は約15分程度。

狭く入り組んだ町並みなので迷いそうになりますが、多く時おり札所参詣者向けの道案内の杭が立っています。参考にしながら進むと迷いにくいです。

影森の町は東側に武甲山をはじめとする山々が迫っていて、その山麓にあるのが圓融寺。

二十六番札所 圓融寺

圓融寺本堂

最初に訪れたのは圓融寺

円融寺は曹洞宗の寺院で、秩父三十四観音霊場の二十六番札所に指定されています。

本堂は江戸期の木造建築。訪れたのは改修前です。堂内には本尊の聖観世音菩薩立像のほか、鳥山石燕が奉納した「景清牢破り」の扁額が埼玉県指定文化財になっています。

山を背にした境内は横に長く、所々が庭園になっています。訪れたのは秋なので境内には紅葉もみることができました。ベンチも置かれているので途中休憩にもぴったりな雰囲気です。

鳥山石燕とは?

鳥山石燕は江戸時代の絵師。古今の様々な妖怪変化を描いた「画図百鬼夜行」で知られています。京極夏彦氏の小説『魍魎の匣』をはじめとする京極堂シリーズにも使われているので、妖怪好きには良く知られた存在。扁額については秩父札所の観音像が江戸で出開帳した際に奉納されたものと伝わっています。

しかし、本来の二十六番札所は少し離れた場所にある岩井堂という場所。岩井堂は山の中にあって無人のため、円融寺が別当寺を務めています。次はその岩井堂へと向かいます。

影森琴平神社の入口

円融寺から岩井堂までは徒歩20~30分ほど。

境内裏のハイキングコースを使うのが最短ルート。途中、昭和電工の工場敷地内を通り抜ける必要があります。入口で守衛さんに声をかけたら、丁寧に行き方を教えてくれました。

工場内のグリーンベルトをしばらく歩いて行くと、右手に琴平神社の鳥居が見えます。岩井堂への参道は鳥居の右側にあります。今回は琴平神社を経由してから岩井堂へと向かいます。

影森琴平神社の参道

琴平神社まではひたすらまっすぐな階段。少し気が遠くなります。

ゆっくりと階段を上っていると、トレーニングをしてる方ともすれ違いました。この長い階段を駆け上がったり駆け降りたり出来るのはかなりの猛者ですね。

木々に覆われた石段を上り終えると、琴平神社に到着です。

琴平神社

影森琴平神社の社殿

山腹に鎮座する琴平神社

創建時期は不明ではありますが、山岳宗教や隣にある武甲山への信仰に端を成す神社と考えられていまし。山の中にしては立派な神社で、境内には社殿のほか神楽殿や土俵も点在しています。

現在は大己貴命が祭神として祀られていますが、神社の名前のとおり古くは雨乞いのため讃岐から金比羅大権現を勧請したものと伝わっているようです。金毘羅大権現は奥宮に祀られています。

影森琴平神社の参道

境内の奥からさらに参道が伸びていて、神明造りの祖霊社や奥宮へと続いています。

道はいよいよ山道ですが、分岐は少ないので迷いにくいです。金比羅大権現を祀っている奥宮を過ぎれば、岩井堂まであと少し。最後に岩井堂の参道と合流します。

岩井堂参道

周囲の木々が高く、昼なお暗い参道は石段や灯籠も苔むしていて雰囲気があります。

圓融寺 岩井堂

圓融寺岩井堂の画像
圓融寺岩井堂秩父札所二十六番 圓融寺を歩く~懸造りの岩井堂がある寺院~

山の中に突然姿を見せる朱色のお堂が岩井堂です。

ここが本来の秩父観音霊場二十六番の札所で、現在は圓融寺の奥の院という扱いになっています。大きな岩塊に身を寄せるように建てられたた独特な建築です。

お堂は18世紀頃に建てられた懸け造りの建築です。山地や傾斜の多い日本の寺院では時おりこうした懸け造りの建築が作られました。京都の清水寺や鳥取の三仏寺投入堂が有名ですね。

圓融寺岩井堂

お堂と岩塊のあいだに細い参道があり、お堂まで上がることができます。

岩が迫っていてかなり圧迫感があります。

圓融寺岩井堂

朱塗りのお堂はかなり年季が入っていて、建物のあらゆる場所に千社札が貼られています。

千社札は参詣の記念に巡礼者が貼っていくもの。

昨今は禁じられていますが、往時の秩父札所の信仰の篤さを物語っています。

圓融寺岩井堂

ちなみに岩井堂の本尊は先ほど訪問した円融寺に安置されています。納経や朱印授与も円融寺にて行っているそうです。

お堂の背後には山塊を掘った浅い岩窟があって、いくつかの石塔や石仏が安置されていました。

お堂は山の中腹にあるため、眺めはよくありません。見えるのは針葉樹ばかり。

ただ、傾斜した場所に建てられていることもあって結構な高さがあります。

琴平ハイキングコース

岩井堂を参詣したあとは、札所二十七番の大淵寺を目指します。

所要時間はおおむね20分くらい。大淵寺までは比較的平坦な山道が続きます。

琴平ハイキングコース

この間は琴平ハイキングコースの一部になっているので歩きやすいです。

琴平ハイキングコースは芝桜が有名な羊山公園から琴平丘陵を経て大淵寺を結ぶルート。周辺の山は落葉広葉樹が多いので、秋は紅葉が綺麗ですね。

最後に岩場を鎖でよじ登る場所があります。

この難所を越えれば、大淵寺の奥の院である護国観音に到着です。

護国観音

護国観音

見晴らしのよい場所に立つ巨大な観音像が護国観音です。

コンクリート製の観音像は高さが約15m。ハイキングコース上にいきなり人工的な建造物が現れて面喰いますが、建造されたのは戦前で意外と歴史のある巨大仏です。

秩父護国観音像

見上げてよくよく観察してみると、造形はかなり写実志向。目から鼻、口元にかけてのパーツは特にリアル作りこまれています。

観音菩薩は女性的ですらりとした美しい像に仕上げることが多いなか、この護国観音は左手に宝剣を握り、右手は今にもチョップをかましそうな姿勢。造られたのが戦前ということも影響しているのか、強くたくましい印象を受けます。

巨大仏とは?

大仏といえば歴史ある奈良や鎌倉の大仏が有名ですが、近代以降にも多く造立されています。戦前は各地に巨大仏を建造するブームが起こったことがあり、護国観音もそのご多分に漏れません。同時期に造られたものですと、ほかに横浜市の大船観音や、高崎市の白衣観音などが有名です。

護国観音から見た秩父盆地

護国観音は影森の町を見下ろす高台に立っているので非常に眺めがいいです。ここまでのハイキングコースは周囲に木々が生い茂っていて、景色はほとんど見えませんでしたので、一気に視界が開けて感動的。

秩父ハープ橋

荒川が作り上げた秩父盆地は川の流れと同じく南北に細長く広がっています。ふもとの影森の町から右側に視界を移すと、秩父市街地があります。ひときわ目立つ大きな橋は荒川に架かる秩父ハープ橋です。

秩父鉄道影森駅

今回の散歩の起点の影森駅も見えます。

影森駅は一部列車の終着駅にもなっているため、複数の車両が駅に停車しています。高い建物も少なく、駅前には住宅が広がっていてのどかな風景です。

ベンチで少し休憩したら、最後に大淵寺を目指します。急傾斜なつづら折りの道を一気に下っていけば、そのまま大淵寺の境内に到着です。

大淵寺

秩父札所 大淵寺
大淵寺の入口秩父札所二十七番 大淵寺を歩く~延命水と護国観音のある寺院~

大淵寺は秩父三十四観音霊場二十七番札所です。

正式には竜河山 大淵寺といい、曹洞宗の寺院。先ほど訪問した圓融寺と同じく背後に山を抱く自然豊かな古刹です。境内にはアジサイが植えられ、カタクリの群生地もあります。

大淵寺も正確な創建時期は不明。かつて宝明という僧がこの地に草庵を結び足を患っていたところ、立ち寄った弘法大師が観音像を自ら彫り与えました。その観音像を本尊として創建されたのが大淵寺とのことです。

大淵寺観音堂

護国観音から下ってくると、まずは境内の奥にある月影堂(観音堂)に至ります。

この建物は1996年に再建されたもので、本尊の聖観音像を祀るお堂です。以前は山の上にありましたが、1919年に汽車の排煙によって焼失してしまいました。再建されるまで本尊はふもとの本堂に安置されていました。

それにしても月影堂という名前が風情ありますね。

大淵寺 観音山延命水

そのほか境内の見どころとしては観音山延命水があります。

山門近くにある湧き水で、一度も枯れたことがないのだとか。1口飲むと三十三ヶ月長生きできると伝えられています。自由に飲むことができますので、私も一口いただきました。

大淵寺を参拝し終えたら、秩父鉄道の影森駅へと向かいます。徒歩10分ほどで到着します。歴史ある影森の古刹を巡るお散歩もこれにて終了です。

まとめ

STRAT
秩父鉄道 影森駅

今回の出発点となる駅。秩父鉄道の各駅停車と急行の停車駅です。

立ち寄りスポット①
圓融寺

秩父札所26番の寺院で、鳥山石燕の扁額と庭園が見どころ。

立ち寄りスポット②
琴平神社

岩井堂に向かう途中にある神社です。

立ち寄りスポット③
圓融寺 岩井堂

以前は二十六番札所として本尊が安置されていた観音堂です。

秩父の護国観音像
立ち寄りスポット④
護国観音

大淵寺背後の山腹に立つコンクリート巨大仏。秩父盆地を一望できる景勝地です。

立ち寄りスポット⑤
大淵寺

秩父札所27番の寺院。紅葉やカタクリの名所で境内には延命水も湧きます。

秩父鉄道影森駅
GOAL
秩父鉄道 影森駅

最後は起点の影森駅に戻って終了。

お散歩の参考図書

今回紹介した影森駅からのお散歩をより楽しむことのできる書籍を数冊紹介いたします。秩父観音霊場の歴史を知ってから歩くとまた違った感動や発見があるかもしれません。

楽学ブックス『秩父三十四カ所めぐり』

秩父三十四カ所観音霊場を紹介した一冊。通常の観光情報誌と異なり、秩父観音霊場に特化した書籍ですので、三十四カ所それぞれの寺院ごとに見どころや歴史を詳しく紹介しています。写真が多く綺麗なので、眺めているだけでも楽しむことができます。

『鳥山石燕 画図百鬼夜行全画集』

江戸時代の絵師、鳥山石燕の代表作として名高い『画図百鬼夜行』。そのシリーズ全画を掲載した書籍です。彼の描いた妖怪画は水木しげるにも影響を与えています。鳥山石燕が奉納した「景清牢破り」の扁額は今も圓融寺に保管されています。

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