宇治山田駅は近鉄山田線と鳥羽線の駅です。戦前の駅舎が現役で使われており、伊勢神宮の最寄り駅としてふさわしい風格が漂います。貴重な近代遺産として国有形文化財にも登録されています。

宇治山田駅は三重県伊勢市にある近鉄山田線の終着駅です。
伊勢市中心部および伊勢神宮(皇大神宮)の最寄りとして、すべての列車が停車するターミナル駅。近鉄山田線の終点ですが、同じく近鉄鳥羽線の起点にもなっており、現在は直通運転が主体。名古屋~鳥羽間で競合するJR参宮線とは隣の伊勢市駅で接続しており、宇治山田駅は近鉄の単独駅になっています。

1931年に参宮急行電鉄時代の終着駅として開業して以来、近鉄と合併のすえ鳥羽線が開業する1969年までは終着駅として使われていました。駅舎やホーム構造は現在でも終着駅としての面影を残しています。

駅舎は開業当時のものが現役で使用されており、名駅舎として評価されています。
設計を手掛けた久野節は、ほかに東武浅草駅も担当した建築家で、窓や壁面装飾に近代建築ならではの趣向が凝らされています。戦前の建築が現在まで良好な状態で保存されていることは貴重ですので、2001年に国登録有形文化財に指定されました。

国家神道の時代では天照大御神をお祀りする伊勢神宮の存在は今よりなお特別視されていましたので、その表玄関となる宇治山田駅はかなり大掛かりに造られています。鉄筋コンクリート3階建ての高架構造も当時としては斬新ですが、2階に貴賓室が設けられていたり、塔屋部分が火の見櫓になっていたりと話題には事欠かない駅です。
P.S.
関東出身の私にとって「宇治山田」という駅名が伊勢神宮と結びつかず、実際に訪れるまでは伊勢参りの拠点駅は伊勢市駅かと思っていました。実際には伊勢市、宇治山田、五十鈴川のいずれの駅からも伊勢神宮に行くことはできますが、もっとも規模の大きな駅は宇治山田駅となります。
宇治山田駅に停車する列車

宇治山田駅には有料特急を含むすべての定期列車が停車します。
山田線と鳥羽線は直通運転を主体としていますが、下り特急および普通列車には当駅止まりが設定されています。急行列車は当駅ではなく、隣の五十鈴川駅で折り返すダイヤが基本になっています。当駅折り返しの列車は行き止り構造の1番・2番ホームからの発着です。






路線 :近鉄山田線・鳥羽線
住所 :三重県伊勢市岩渕2丁目1-43
開業日:1931年3月17日
訪問日:2021年4月25日
※画像はすべて訪問時に撮影したものです