西武多摩湖線 多摩湖駅を訪ねる~4度駅名変更した終着駅~

西武多摩湖の車両

西武多摩湖線 多摩湖駅

多摩湖駅(旧西武遊園地駅)の画像

多摩湖駅西武多摩湖線西武山口線の駅です。

国分寺~多摩湖駅を結ぶ多摩湖線と、多摩湖~西武球場前を結ぶ山口線(レオライナー)のどちら路線の起終点になっています。どちらも西武鉄道の路線ですが、山口線はゴムタイヤで走る新交通システムなので直通運転はありません。

西武山口線多摩湖駅(旧西武遊園地駅)画像
多摩湖駅で出発を待つ山口線 (2017)

駅は8両編成まで停車可能な多摩湖線専用の島式1面2線ホームと、山口線の単式1面1線ホームがあります。ホームは直列で繋がっているため、ひとつのホームで乗換えができるような構造になっています。改札口は有人窓口のある北口と跨線橋を渡った南口の2カ所。駅は傾斜地にあるため、山口線ホームの先端はトンネル構造になっています。

多摩湖線は、ほぼすべての列車が多摩湖~国分寺間の折り返し運転です。

以前は途中の萩山駅から拝島線・新宿線に乗り入れる直通列車も設定されていましたが、現在は平日朝に1往復のみの激レア列車となりました。しかし、西武ゆうえんちの多客期や西武ドームでのイベント開催時の不定期列車として直通運転が行われることがあります。

多摩湖駅の由来と歴史

村山下貯水池第一取水塔
多摩湖こと村山貯水池 (2021)

多摩湖駅の歴史は古く、開業は戦前の1936年のこと。

開業以来、現在に至るまで過去4度も駅名称変更を行っており、その複雑な経緯が偲ばれます。兎にも角にも、多摩湖こと村山貯水池とその周辺をめぐる鉄道事情はかなり込み入っていて難しいです。

まず、1927年に人造湖である多摩湖こと村山貯水池が完成。多摩湖周辺に観光需要を目論んだ多摩湖鉄道は、多摩湖線を敷設。その終着駅として村山貯水池駅が1936年に開業します。これが現在の多摩湖駅の前身で、現在よりも400m南寄りに駅がありました。

1940年には多摩湖線は吸収合併により武蔵野鉄道の所有となります。翌年1941年には駅名を狭山公園前駅に改称。当時は日中戦争が長期化しており、軍事上重要な施設や資源に関連する地名や駅名は改称される時代でした。

西武山口線のトンネル
山口線は軽便鉄道を改良した路線 (2017)

終戦後は武蔵野鉄道が西武鉄道を吸収し、現在の西武鉄道が成立します。1951年には村山貯水池の通称である多摩湖を駅名に採って、多摩湖駅に改称。

1961年には多摩湖線を北側に400mほど延伸して、駅も移転。1979年には西武遊園地駅に改称します。山口線が多摩湖駅まで延伸した1985年に、ほぼ現在と同じ駅構造になりました。

西武多摩湖の車両
多摩湖駅に停車する多摩湖線普通列車 (2017)

さらに、2021年5月には西武ゆうえんちが大規模リニューアルを実施。

駅直結の中央口を閉鎖して、西口をメインゲートにすることに伴い、2021年3月に駅名を多摩湖駅に戻しました。ちなみに、山口線の遊園地西駅は遊園地のメーンゲートの最寄り駅となることから、西武ゆうえんち駅に改称しています。

もっと詳しく!参考図書

多摩湖駅や多摩湖線を取り巻く複雑な歴史をもっと知りたい方は、今尾恵介『地図と鉄道省文書で読む私鉄の歩み2』がおススメです。私鉄路線の生い立ちを地図から読み解くシリーズ。多くの鉄道会社と吸収合併を繰り返しながら発展した西武鉄道の章は読みごたえがあります。

多摩湖駅周辺の観光

多摩湖からの眺め
多摩湖上の遊歩道 (2021)

多摩湖駅はその名前のとおり、多摩湖の最寄駅。

多摩湖は正式には村山貯水池といい、大正時代に建設されたダム湖。また、ダムの上は歩行者専用道路になっており、狭山丘陵を一望することができます。駅からダムへは徒歩5分程度です。

都立狭山公園の画像
多摩湖からの眺め (2021)

湖の東側は都立狭山公園として整備され、広々とした園内は桜と紅葉の名所としても知られています。公園内にあるたっちゃん池こと宅部池は心霊スポットしても有名ですが、日中は明るく賑やかで雰囲気のいい公園。こちらは駅南口から徒歩1分です。

駅の北側には西武園ゆうえんちがあります。2020年までは遊園地中央口が直結していましたが、リニューアルに伴い廃止。現在は山口線に乗り継いで西武園ゆうえんち駅まで行く必要があります。

多摩湖駅の情報

路線 :西武鉄道 多摩湖線/山口線
住所 :東京都東村山市多摩湖町3-15-18
開業日:1936年12月30日
訪問日:2017年2月

多摩湖駅の画像