はじめての相模鉄道~大手私鉄知名度ワースト1位の相鉄線と気になる都心直通運転

相模鉄道(以降:相鉄線)は横浜駅を起点として横浜市西郊を結ぶ鉄道路線。

横浜駅から海老名駅を結ぶ24.6㎞の本線と、
途中の二俣川駅から分岐して藤沢市の湘南台を結ぶいずみ野線の2路線があります。

全路線が神奈川県内を走行しており、路線の営業距離は全国の大手私鉄のなかでも最短
他社路線との相互直通運転も行なっていない珍しい路線です。

そのため、県外での知名度は著しく低くいのが実情です。
全国と言わず、隣接する東京を含めた関東圏内でもあまり認知度は高くありません。

今回は、相鉄線をまだあまり知らない人に向けて“大手私鉄の異端児”こと相鉄線の特徴と歴史、今後の快進撃の主軸となる都心直通線についてご紹介したいと思います。

相鉄線ってどんな路線?

相鉄こと相模鉄道株式会社は神奈川県横浜市に本社を置く大手私鉄。

神奈川県民は誰もが知っている鉄道路線です。
隣接する東京を含めた県外地域での知名度はあまり高くありません

拠点となる横浜市は全国でも2番目に人口の多い都市。
その中心となる横浜駅は1日230万人が利用する巨大ターミナルです。

横浜中心部への通勤通学利用者の足として発達してきた相鉄には、鉄道を補完する路線バス事業、宅地開発や不動産事業、ホテル事業を行うグループ会社があり、相鉄グループ全体で沿線の街づくりにも力を入れています。

相鉄線は横浜市郊外および神奈川県央地域を結ぶ郊外型の路線。
本線は横浜駅のある横浜市西区を出発して、保土ケ谷区・旭区・瀬谷区・大和市・座間市を走り、海老名市の中心地である海老名駅を結びます。横浜市を東西に縦貫しているイメージです。

いずみ野線は途中の二俣川駅から分岐している支線です。
1999年に全線開業した比較的新しい路線で、横浜市郊外にある泉区のニュータウン造成とともに住民に足として敷設された経緯があります。

相鉄線の歴史

1917年 相模鉄道創業
1926年 神中鉄道が厚木~二俣川駅間を開業
1933年 神中鉄道が横浜駅まで延伸し全線開通
1943年 相模鉄道が神中鉄道を吸収合併
1944年 相模鉄道相模線が国有化
1974年 全線複線化
1976年 いずみ野線二俣川~いずみ野駅間を開業
1990年 いずみ野線いずみ中央まで延伸,大手私鉄認定
1999年 いずみ野線が湘南台駅まで延伸し全線開業
2019年 相鉄・JR直通線が開業,相互直通運転を開始

相模鉄道と神中鉄道

相鉄線の歴史は少しばかり複雑です。

1917年に創業した相模鉄道は、相模川砂利輸送を目的とした路線を計画しました。茅ヶ崎駅から段階的に開業させ,1931年に茅ヶ崎~橋本駅間を全線開通させます。これが、現在のJR相模線です。

一方で1917年に創業した神中鉄道も、砂利輸送を目的とした路線を計画。
1926年に厚木~二俣川駅間が開業します。こちらが現在の相鉄線の前身です。

目的を同じとした路線がほぼ同時期に創業、開通したことになります。
戦争が悪化してきた1943年に両社は経営合理化のため合併します。吸収された神中鉄道は、新たに相模鉄道神中線となりました。

そんな矢先に、相模鉄道相模線が国鉄に強制買収されることになります。
戦局が悪化していた当時は国鉄が全国各地の私鉄路線を買収していました。例えば、現在のJR南武線や青梅線ももともとは私鉄路線でしたが同じタイミングで買収されています。

人口増加に伴う複線化

相鉄線新7000系

相模鉄道はもともとの路線を失い、吸収した神中鉄道の路線だけが残されます。
しかし、戦中から戦後にかけて沿線にある厚木飛行場への貨物輸送等の需要が拡大。砂利輸送に加えた貨物輸送が最盛期を迎えます。

戦後になると、当初あまり期待されていなかった旅客輸送需要も増加。
経済成長に伴う都市人口増加の追い風を受けて沿線の宅地化が急速に進みました。

戦後は1952年に希望ヶ丘駅まで複線化が行われ、その後も段階的に工事が行われます。
終点の海老名駅までの複線化が完了したのは1974年です。

この時期の相鉄は利用者の増加をうけて、橋上駅舎化をはじめとする設備の拡充、バス路線の整備,横浜駅周辺の開発などめまぐるしく発展していきます。

ニュータウンの開発

相鉄いずみ野線湘南台駅

1960年代後半から住宅需要の高まりを受けて、各地でニュータウンが造成されます。
1960年台の多摩ニュータウンを皮切りに、都下および神奈川千葉など概ね都心へ1時間以内で通勤することのできるエリアで開発が始まります。

そんななか、横浜市泉区のニュータウン造成にともない相鉄が新路線を計画します。
二俣川駅から分岐する新線はいずみ野線と命名され、1976年に最初の区間であるいずみ野駅までが開業します。

沿線開発は段階的に行われ、いずみ野線も延伸を重ねます。
1990年にはいずみ中央駅まで、1999年には小田急江ノ島線と接続する湘南台駅まで開業しました。

いずみ野線は湘南台駅が終点ですが、その先相模線の倉見駅方面への延伸計画が存在します。途中駅の候補地の検討などが行われていますが、まだ着工しているわけではなく今後の進展が待たれます。

相鉄線のこれから

相鉄線は現在、3つの大規模プロジェクトを進めています。

もっとも大きなプロジェクトは都心への直通運転プロジェクト。
工事の遅延により当初よりも遅れてしまったものの、まもなく相鉄・JR直通線が開業します。すべてが完了する数年後には、相鉄へのイメージも大きく塗り替えられることは間違いありません。

連続立体交差事業

相鉄本線の星川~天王町駅間の約1,800mを高架化して踏切を解消する計画です。

踏切での人身事故や大規模な衝突事故は近年でも跡を絶たちません。踏切は自動車渋滞を招くこともあり、鉄道各社が立体交差事業に取り組んでいます。

相鉄ではこの事業により9カ所の踏切を解消。
星川駅は2面4線の高架駅へと生まれ変わることになります。完成は2021年が予定されています。

この区間の事業が終了すると、次に二俣川~西谷駅間が着手されます。
こちらは高架ではなく全線地下方式で進ていく計画で、全10カ所の踏切が解消されます。
また、途中の鶴ヶ峰駅は新たな地下駅に生まれ変わる予定になっています。

相鉄デザインブランドアッププロジェクト

相鉄12000系車両

創業100周年を迎えた2017年から計画されている大規模プロジェクト。
相鉄グループのイメージブランドと認知度向上を目的として、相鉄線の駅・車両・制服のデザインを一新します。

車両は都心直通用の設備を備えた2種類を新たに新造。
2018年には東急線直通用の20000系、2019年にはJR線直通用の12000系がデビュー。
エッジの効いた全面デザインと、車体は新たなイメージカラーである「YOKOHAMA NAVYBLUE」をまとった斬新な車両は都心へ進出する意気込みを感じます。

また、現行車両の9000系も順次リニューアルされており、同じ車両とは思えない洗練されたデザインになっています。

駅はグレートーンでまとめたデザインで、キーマテリアルとして横浜らしさを感じるレンガ・鉄・ガラスなどを配置しています。多くの鉄道駅は外壁や構内をホワイトを基調としているのに対して、暗めの色を採用したのが特徴です。

それまでオリジナリティの少なかった相鉄線が、今後は個性的な印象に変わるのは間違いないでしょう。都心直通を契機に東京をはじめとする県外にも通用するブランド力を築いています。

都心直通プロジェクト

相鉄線は長い間、ほかの路線に乗り入れない自社路線完結の路線でした。
今後、新路線の開業とともに東京都心への2系統の直通運転が実現しようとしています。

  1. 相鉄・JR直通線(海老名~新宿駅間相互直通運転)
  2. 相鉄・東急直通線 (東急東横線・目黒線との相互直通運転)

相鉄本線の西谷駅から分岐する新路線を新設。
JR貨物線の横浜羽沢駅付近でJR線と、日吉付近で東急東横線と目黒線に接続させます。

この路線は全線開通後に相鉄新横浜線という名前が付き、途中には新横浜駅を含む3つの新駅が開業する予定です。

直通運転が開始されると相鉄沿線に在住の都心通勤通学利用者は横浜駅での乗り換えが不要になり、乗車時間も大幅に短縮されることとなります。また、横浜方面の列車の混雑緩和も期待されています。

相鉄・JR直通線

西谷駅から連絡線を介してJR線との直通運転を行います。

相鉄線海老名駅~JR線新宿駅間で相互直通運転が行われ、朝通勤時間帯の一部上り列車のみ埼京線の武蔵浦和駅または大宮駅まで乗り入れます。

西谷駅から分岐した連絡線は、JR貨物線横浜羽沢付近で東海道貨物線と合流して品鶴貨物線経由で横須賀線と合流します。この区間はほぼ旅客輸送が行われていないため、一般的な鉄道路線図には記載されていない路線です。横須賀線と合流したあとは、湘南新宿ラインと同じルートを走行して新宿駅まで向かいます。

JR線との直通運転が開始されれば、二俣川~新宿駅間が最短44分大和~渋谷駅間は最短45分となり、現状の横浜駅経由よりも10分程度短縮されることがわかっています。

直通運転の開始は2019年11月30日から。
すでに直通後の停車駅に加えてダイヤも公開されています。

11月30日相鉄線ダイヤ改正!相鉄JR直通線開業と通勤特急ほか新種別の導入

相鉄・東急直通線

西谷駅から連絡線を介して東急東横線・目黒線と直通運転を行います。
相鉄線海老名駅~東急線渋谷駅・目黒駅間で相互直通運転が行われ、その先地下鉄線内にも乗り入れる可能性があります。

直通運転開始と同時にJR直通線と分岐する羽沢横浜国大駅から日吉駅間を結ぶ新路線(相鉄新横浜線・東急新横浜線)が開業。途中には、新横浜駅と新綱島駅が新たに設けられます。

つまり、東急線に直通するだけではなく、相鉄線で新横浜駅まで直接行けるようになります。
東海道新幹線と接続する新横浜駅はJR横浜線と市営地下鉄線しか走っていないため、横浜駅で乗り換える必要がありました。

直通後の停車駅や運転本数については現状発表されていません。
東急直通線の開業は2022年度に予定されているので、今しばらく待ちましょう。

都心直通プロジェクトについては、別記事で詳しくています。

相鉄都心直通路線図開業迫る!【相鉄線都心直通プロジェクト】期待の相鉄JR直通線&相鉄東急直通線とは

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です