JR篠ノ井線 姨捨駅~日本三大車窓のある絶景駅~

姨捨駅ホーム

今回は篠ノ井線の姨捨駅です。
日本三大車窓にも数えられ、スイッチバック構造が残る姨捨駅を画像とともに紹介します。

JR篠ノ井線 姨捨駅

姨捨駅ホーム

姨捨駅は長野県千曲市にあるJR篠ノ井線の駅です。

急勾配区間にあるため、現在でもスイッチバック構造を持つ全国でも珍しい駅。標高は551mで、ホームからは千曲川をはじめ善光寺平を一望することができるため、日本三大車窓にも選ばれています。

駅構造は相対式2面2線のホームで、1番線(下り長野方面)側に駅舎があり、2番線側は善光寺平を望む展望台が設置されています。2つのホームは跨線橋で繋がっています。無人駅のため駅舎に売店や券売機はありませんが、窓口が設置されていて、記念入場券を販売しています。

姨捨駅からの景色
すぐ下を篠ノ井線の本線が走る(2009)

停車するのは快速を含む普通列車のみで、特急などの通過列車は駅に入線することはありません。姨捨駅は本線から分岐した場所に作られているため、普通列車はスイッチバックを行って姨捨駅を発着します。また、篠ノ井線は単線のため、1日数本は当駅で行き違いの待ち合わせをする列車もあります。松本方面の上り列車は眺めのいい2番線に停車するので、待ち合わせ停車中の数分間に眺望を楽しむことができます。

姨捨駅での停車時間は?

姨捨駅のある篠ノ井線は単線のため、列車行き違いのため数分間停車する列車の設定があります。

停車時間に眺めを楽しみたい場合は展望台のある2番線に停車する下り(松本方面)の列車がおススメ。列車によってはすぐ発車してしまう場合もあるので時刻表でご確認を。JR東日本HPに掲載されている時刻表は駅到着時間と出発時間がどちらも記載されているので便利です。

日本三大車窓と夜景遺産の駅

姨捨駅ホーム

姨捨駅は眺望のいい駅として有名で、日本三大車窓にも数えられています。

姨捨という場所は善光寺平を見渡す傾斜地にあり、傾斜を活用した棚田と水面に映る月が織りなす景観は古くから歌枕として有名でした。『古今和歌集』の時代から近世の松尾芭蕉に至るまで多くの歌人・俳人が姨捨を旅して歌を詠みました。

近代以降は篠ノ井線が開通したことで、列車から気軽に姨捨の眺望を楽しめるようになりまた。日本三大車窓のなかでは本州の中で唯一、姨捨駅が選ばれています。

日本三大車窓とは?

出自は明らかではありませんが、国鉄時代に日本の鉄道路線で特に眺望のよい景色として根室本線の狩勝峠越え篠ノ井線の姨捨駅肥薩線の矢岳越えが選ばれています。ただし、根室本線は1966年に新狩勝トンネルを経由に切り替わり、旧線が廃止されました。

姨捨から駅から望む善光寺平姨捨駅からの夜景

姨捨駅は2012年には日本夜景遺産にも認定されています。

日中だけでなく、夜は千曲川流域に広がる千曲市の稲荷山や屋代、長野市の市街地の夜景を一望することができて美しいです。姨捨の夜景を楽しむことのできる臨時列車「ナイトビュー姨捨」も2015年に日本夜景遺産に登録されました。

姨捨駅の歴史

姨捨駅と115系

姨捨駅が開業したのは1900年11月1日。

篠ノ井線が篠ノ井駅から西条駅まで開通するのと同時に途中駅として設置されました。現在の駅舎は1934年のもの。1972年以前は駅員が常駐していましたが、山の傾斜地で周囲に人家も多くない立地条件もあって一般利用者は少なく、現在は無人化しています。

しかし、姨捨駅はホームから見える眺望とスイッチバックという珍しい構造が話題となって週末や青春18きっぷのシーズンには多くの旅行者が訪れる観光名所になっています。2010年には駅舎リニューアルや1番線下りホームに展望台を設けるなどして観光利用者向けの整備にも積極的です。

さらに近年ではJR東日本のクルージングトレイン「TRAIN SUITE 四季島」のコースにも組み込まれ、駅舎横には専用ラウンジ「更級の月」がオープンしています。四季島の乗客だけに許された贅沢な空間で、長野地産の酒と肴を楽しむことができます。

姨捨駅の由来と伝説

姨捨駅駅名標

姨捨という地名は一度聞いたら忘れられない響きがあります。

この地名には姨捨山という民話が関係していると考えられています。同じような民話は各地にあり、こうした風習があった事実は確かめられていません。しかし、『古今和歌集』に見える「わが心慰めかねつ更級や姨捨山に照る月を見て」の句にあるように、平安時代にはすでに姨捨という場所は世に知られていたと考えられます。ちなみに更級とは現在の千曲市周辺を指す古い地名です。

なお、「姨捨山」という山は現在の冠着山とも言われていますが、どの山を指すのかについては諸説あるようです。

姨捨駅周辺の観光名所

姨捨駅の観光名所

姨捨公園、長楽寺、名勝姨捨(長楽寺地区、四十八枚田地区、姪石地区、上姪石地区)

姨捨公園

姨捨駅周辺は古より歌人が訪れた風光明媚な場所です。

駅や車窓から景色を眺めるだけではなく、途中下車をして国指定名勝や「日本の棚田百選」に選ばれたエリアを散策するのもおススメです。駅からもっとも近く訪れやすいのは姨捨公園。姨捨駅西側に小路を進んだ先の小高い丘にあるのが姨捨公園で、善光寺平が一望できます。ベンチもたくさんあるので休憩にも最適です。

姨捨には2約2000枚の棚田が広がっており、国指定名勝に指定される景勝地です。近年では国の重要文化的景観日本遺産「月の都千曲」に指定されるなど文化的にも注目されています。

姨捨周辺マップ

名勝に指定されているのは長楽寺、姪石、上姪石、四十八枚田の4つの地区で、そのうち長楽寺地区には天台宗の古刹・長楽寺があります。境内には松尾芭蕉の句碑、芭蕉翁面影塚をはじめ多くの句碑が残るこるほか、伝説を秘めた巨大な姨岩(姨石)、風流な月見堂(観月堂)など見どころが多いです。

姨捨は月の名所としても知られ、棚田の水面に映る「田毎の月」は姨捨の代名詞でした。一説には日本三大月にも数えられています。現在でも中秋の名月の頃には長楽寺で信州さらしな・おばすて観月祭が開催されています。

周辺に飲食店や商業施設は少ないですが、徒歩15分ほどの場所に長野自動車道の姨捨SAがあります。SA内に高速バスの停留所もあるため、徒歩でも入ることができます。駅から行く場合は上り(東京・名古屋方面)の方が近いです。

姨捨駅の画像

姨捨駅ホーム
姨捨駅の駅名標とホームからの眺望(2009)
姨捨から駅から望む善光寺平
姨捨駅からの眺望(2009)
姨捨駅ホーム
上り1番ホームのベンチと東屋 (2009)
姨捨駅ホーム
ベンチはホームの外側を向いている (2009)
姨捨駅ホーム
姨捨駅上り1番ホーム(2009)
姨捨駅ホーム
姨捨駅上り1番ホーム(2009)
姨捨駅と115系
列車交換で顔を合わせる115系 (2009)
姨捨駅構内
スイッチバック構造の姨捨駅 (2009)
姨捨公園に向かう踏切
姨捨公園に向かう小路にある踏切 (2009)
姨捨駅の雪景色
姨捨駅からの眺望 (2011)
冬の姨捨駅
姨捨駅上り1番ホーム (2011)
姨捨駅に停車中の115系
姨捨駅に停車中の下り普通列車115系 (2011)
姨捨駅に停車中の普通長野行き
姨捨駅に停車中の下り普通列車115系 (2011)
姨捨駅を発車する115系
姨捨駅を発車する上り普通列車115系 (2011)
夜の姨捨駅
改修前の姨捨駅ホーム (2011)
姨捨の夜景
姨捨駅からの夜景 (2011)
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姨捨駅の情報

路線 :JR東日本 篠ノ井線
場所 :長野県千曲市八幡姨捨
開業日:1900年11月1日
訪問日:2009年7月21日、2011年1月4日