北越急行ほくほく線 美佐島駅を訪ねる~山岳トンネル内にホームがある無人駅~

美佐島駅階段の画像

北越急行 美佐島駅

美佐島駅画像

美佐島駅は北越急行ほくほく線の駅です。

ほくほく線の開業と同じく1997年3月22日に開業しました。美佐島駅は笠置山を貫く赤倉トンネル内に設置され、ホームがトンネル内にある珍しい駅です。また、周辺に人家の少ない山岳地帯にポツンと設置されているため、開業当初から無人駅。地上には待合室付きの駅舎があり設備は立派です。

2015年までは北陸を結ぶ特急はくたか号が頻繁に運転されており、線内を最高時速160㎞で走行していました。トンネル内に設置された美佐島駅では、通過する特急列車による突風対策としてホームは列車到着時以外は閉鎖し、頑丈な2重扉を設置するなど安全対策が施されています。

停車するのは普通列車のみ。
特急列車は廃止されましたが、1日数本運転している快速や超快速は美佐島駅を通過します。

普通列車で美佐島駅

美佐島駅を訪れたのは2009年。
まだ当時はほくほく線内を特急が頻繁に走っていました。

六日町駅発の普通列車に乗車して、しばらくは雪景色の田園地帯をひた走ります。

魚沼丘陵駅を出発すると山岳地帯を貫通する赤倉トンネルに入ります。美佐島駅はこのトンネルの内部に位置しています。トンネル内で車内アナウンスは聴こえづらいですが、トンネル内で速度を落とし始めたらまもなく美佐島駅に到着です。

美佐島駅ホーム

車両前方で運賃を支払って下車すると、2両編成の車両がぴったりと収まる小さなプラットフォームがあります。ホームを見学する間もなく、特急列車が来るので早めにホームから出るようにと乗務員の方に促されました。ホーム中央あたりに出口に繋がる扉があります。

結局、下車したのは私ひとりだけでした。

美佐島駅ホーム

見るからに頑丈そうな金属製の自動ドアが開いて、ホームから出ます。

私が出ると自動ドアはすぐに閉まって、扉の向こうで電車が発車していく姿が見えました。このホームへ繋がる扉は次の列車が到着するまで施錠されてしまいます。列車が到着している時間以外は、誰もホームに出ることができないようにな仕組みになっています。

狭い地下通路には左側に待合室、右手に出口に繋がる自動扉があります。こちらの扉もホームの扉と一緒で頑丈な自動ドア。ホーム側のトンネル内で発生した風が外へ逃げていかないように、2枚の自動ドアはどちらか片方のみが開くような仕組みになっているようです。

無人駅なのに立派な駅舎

美佐島駅階段の画像

2枚目の自動ドアを抜けると、地上へと向かう階段があります。

土合駅や筒石駅と比べると深度は浅く、階段はあまり長くはありません。ホームの深さは地下2~3階程度でしょうか。一見すると、都心の地下鉄駅の出口ような雰囲気があります。

美佐島駅階段の画像

階段を上りきると、駅舎の中に出ます。

美佐島駅は開業当時から無人駅ですが、駅舎があります。しっかりとした畳敷きの待合室とトイレが設置されていました。また、路線自体の開業が1997年と比較的新しいので、全体的に綺麗な印象です。

美佐島駅駅舎

美佐島駅の特徴は地下にホームがあるいうだけではなく、周辺環境の秘境っぷりも必見です。

この駅の1日あたりの乗降客数は10名を割っており、それもそのはず駅舎の前には道路が通っているだけで、人家は見当たりません。西に数キロ下っていけば十日町の市街地に出ることができますが、そのほかは道路周辺に数か所民家が存在する程度。

美佐島駅駅舎

20世紀末、ほくほく線の開業とともに爆誕した美佐島駅。いったい何のために造られたのか、そして妙に設備の充実した駅舎など色々と謎めいた駅です。ホームが地下にあることもあって、山間にポツンと立っている駅舎だけを見ても初めての方は駅だとは決して思わないでしょうね…

かつては北陸特急が爆速で…

美佐島駅画像

今はもう昔語りになってしまいましたが、美佐島駅にはもうひとつの名物がありました。

それは、特急列車の通過時に発生する轟音。
ほくほく線には当時、在来線最高の時速160㎞で走行する特急はくたか号が走っていました。美佐島駅のある赤倉トンネルも高速運転ができるように直線で作られており、トンネル内は最高速度で走行します。

美佐島駅画像

そのため特急通過時にトンネル内発生する突風が非常に危険なため、美佐島駅のホームは常時施錠されて、風圧を抑えるための頑丈な2つの扉が設置されているのです。

ホームに降りることはできませんが、扉の中間にある待合室で特急通過を見学することが可能です。

美佐島駅ホーム

私も特急が通過する時間帯を選んで下車したので、頃合いを見計らって待合室に降りてみました。
通過列車が接近すると、「列車が高速で通過します」という自動アナウンスとともに無機質な警告音が待合室に響き渡ります。そして、トンネル内から扉の隙間を抜けて出てくる風音が不気味です。列車が近づくにつれて風の音は高く大きくなり、耐えきれないので、一度待合室に退却しました。

物珍しさで見学してみましたが、風の音とアナウンスが物々しく恐怖を覚えたのが正直なところです。

2015年の北陸新幹線開業に伴って、ほくほく線内の特急は姿を消してしまいました。ですが、現在でも快速や超快速スノーラビットは美佐島駅を通過しますので、通過時の体験をしたい方は是非。

美佐島駅の情報

場所 :新潟県十日町市午
路線 :北越急行ほくほく線

訪問日:2009年3月7日