今回は中央本線の勝沼ぶどう郷駅です。
甲府盆地を見下ろす高台に位置する勝沼ぶどう郷駅を画像とともに紹介します。
勝沼ぶどう郷駅は中央本線の駅です。
東京方面から向かうと、複数の山岳トンネルを抜けて甲府盆地に出て初めての駅が勝沼ぶどう郷駅です。駅は甲府盆地の東側の傾斜地に位置しており、標高も高いため駅周辺から甲府盆地を見下ろすことのできる景勝地としても知られています。また、線路沿いに桜が植えられているため、桜の名所としても有名です。
普通列車のみ停車しますが、観光シーズンには一部の特急や臨時快速列車が停車する場合もあります。
駅は1階に駅舎があり、2階に島式1面2線のホームがあります。
駅自体が傾斜面にあるため、改札からホームまでは地下道で繋がっている構造。路線がカーブを描いているため、ホームの上下線の間には少し段差があるのが特徴。駅舎には小さいですが待合室や観光案内所が併設されています。
1913年の開業当時は勝沼駅として開業しました。
中央本線開通後に信号場が駅に昇格して誕生した経緯があり、当初は旅客だけではなく貨物の取り扱いも行っていました。貨物では名産品のぶどうなどを出荷していましたが、貨物営業は1960年に廃止しています。
駅名が勝沼ぶどう郷駅に変更されたのは1993年4月のこと。平成といえば、大合併をはじめ全国各地でひらがな地名が多用された時代でした。名産のぶどうを駅名に使用することで観光客誘致にも一役買っているようです。ちなみに近隣にはワインカーヴや温泉が集まる複合施設「ぶどうの丘」などもあります。
開業当初はスイッチバック構造を持つ駅でした。
ホームは本線上にはなく、甲府寄りで分岐した引き込み線にホームが設けられていました。1968年にスイッチバックは解消されましたが、現在のホームに並行するかたちで旧勝沼駅ホームの遺構が現在も残されています。公園として残されているので、誰でも自由に見学することができます。
往時の鉄道は傾斜面での停車・発進が技術的に困難なため、こうしたスイッチバック構造を持つ駅が数多くありました。特に中央本線は山岳地帯に路線が敷かれてるためスイッチバック構造を持つ駅が8カ所もありましたが、現在では車両性能が向上したこともあって、すべて廃止されています。
また、勝沼ぶどう郷駅の東京寄りに大日影トンネルが保存されています。
1902年の開通当時から1997年まで中央本線のトンネルとして現役で使用されており、役目を新大日影トンネルに譲ったあと遊歩道として整備されました。レールも敷かれた状態で保存されていて、長さは1,367mのトンネル内を通り抜けることができます。
勝沼ぶどう郷駅周辺は観光スポットが比較的多いです。
駅に隣接する甚六桜公園は県内でも有数の桜の名所として有名。中央線の路線に沿って約600本の桜が咲きます。公園内には旧勝沼駅ホームの遺構や電気機関車のEF64が静態展示されているので、桜の季節以外も楽しむことができます。
大日影トンネル遊歩道は中央本線の旧線トンネル内を遊歩道として公開しています。残念ながら2021年時点では老朽化のため公開を停止しています。遊歩道を抜けた先には旧深沢トンネルをワイン貯蔵庫に活用した勝沼トンネルワインカーヴも山梨県ならではの名所です。
ワインといえば駅の西側の小高い丘に甲州市が運営するぶどうの丘があり、ワインの試飲ができる地下ワインカーヴや甲府盆地を一望する温泉「天空の湯」、宿泊施設などが揃っています。起伏があるので駅から歩くと20分程度必要ですが、ぶどう畑を眺めながら歩くのもまた楽しいです。
ぶどう寺の愛称で知られる大善寺は718年創建と伝わる真言宗の古刹。本堂の薬師堂は鎌倉時代後半の建築で国宝にで、内部に安置される木製薬師如来及両脇侍像や木造十二神将、日光月光菩薩像は重要文化財にしていされいます。
駅周辺には甲州市民バスが走っています。勝沼地域では2ルートの循環バスがあり、勝沼トンネルカーヴにはワインコース、ぶどうの丘にはぶどうコースを利用するのが便利です。本数はあまり多くないので事前に調べておくことをおススメします。
勝沼ぶどう郷駅のスタンプは駅舎に設置されていました。
JR東日本八王子支社が作成している小柄なスタンプシリーズで、絵柄は近隣にある複合施設「ぶどうの丘」がデザインされています。2009年時点でだいぶ消耗しており、全体を綺麗に捺印することは困難でした。
路線 :JR東日本 中央本線
住所 :山梨県甲州市勝沼町菱山
開業年:1913年4月8日
訪問日:2009年4月3日、2015年4月2日