布袋様が坐す場所/北鎌倉 浄智寺

鎌倉寺社巡り
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臨済宗円覚寺派である浄智寺は、鎌倉五山第四位の寺院。

時の執権の北条時頼の三男、宗政が弘安4年(1281)に没し、その妻が寺を起こしたとされています。
13世紀は禅が栄えた時期でもあり、浄智寺も一時は塔頭も立ち並ぶほどの隆盛を極めましたが、江戸時代に入ると後ろ盾を失って衰退。
残された建築も、関東大震災でほとんど倒壊してしまったそうです。

このお寺は円覚寺や建長寺と比較してしまうと、小ぢんまりとしていますが、狭い谷戸に広がる閑静な隠れ里的空間が素敵です。
まず、北鎌倉のメインストリートから逸れて、水路沿いに歩くと入口があります。

水路を渡る古い石橋と、なだらかに続く石段は歴史を感じさせます。
両側にアジサイの植えられた石段はだいぶ摩耗していてなめらか。
寺院参道の古い石段は文化財保護の観点から通行を禁止する傾向にありますが、このお寺は歩くことができます。

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石段の先にある山門は、鎌倉では珍しい中国風の鐘楼門。
古い建築ではありませんが、花頭窓がかわいらしいです。

山門から先の拝観は有料。
崖に挟まれた小さな境内には文化財よりも、木々や洞窟が織りなす不思議な空間巡りが楽しいです。
狭い素掘りの洞窟を抜けた先には「鎌倉江ノ島七福神」のひとつ、布袋尊がいらっしゃいます。


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境内の中心は雲華殿と呼ばれる仏殿です。
本尊は木造三世仏坐像で、過去・現在・未来という時を阿弥陀・釈迦・弥勒という如来に当てはめた三尊像です。

通常は如来像を中心として、両側の脇侍に菩薩や天が並ぶことが多いですが、ここではすべて如来になっています。
像は世紀頃に作られたものだそうです。

参拝を終えたら、境内の散策路を時計回りに一巡します。

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境内は奥へ進むと鎌倉特有の谷戸と呼ばれる地形になっているため、昼なお暗いです。

崖が迫り鬱蒼としていて、午後はすぐに日が届かなくなってしまうようです。

鎌倉の地は「鎌倉十井」といったものがあるほどに水の綺麗な所として知られていました。
浄智寺の参道にもそのひとつ、「甘露の井」があります。

また、崖の一部分は浅く掘られて、やぐらとなっています。
やぐらとは主に墓所として利用された横穴で、平地の少ない鎌倉地域特有の埋葬方法です。

ふるめかしい石塔や石像が所狭しと並べられています。


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やぐら群の奥には謎の横穴があります。
解説板にも「かなり古い時代に掘ったものと思われます」というある通り、詳しいことは謎に包まれています。

昔はコウモリの棲みかにもなっていたそうです。

抜け穴として何処かに続いていそうな雰囲気があります。

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境内最奥の洞窟には布袋尊が祀られています。
布袋は弥勒菩薩の化身と考えられているそうです。

このユーモラスな顔つきをした布袋尊。
鎌倉江ノ島七福神のひとつにも数えられています。

腹部を触ると高徳があるのか、やや黒ずんでいるようです。

トンネルの先の空間は、仏殿の前に比べると人の姿も少なく、布袋の隠れ里とった雰囲気。

浄智寺は堂宇の立ち並ぶ寺院とは異なって、小さいながらも鎌倉特有の地形に抱かれた独特の境内が印象的です。


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