
影森駅は秩父鉄道の駅です。
秩父鉄道が秩父駅から影森駅まで延伸したのは1917年の9月。影森から先、三峰口駅までの区間は1930年に開業しています。途中駅ではありますが、当駅から先三峰口駅まで直通する列車の本数は少なく、熊谷方面から来る普通列車と急行秩父路の大半が影森行きとなっています。SLパレオエクスプレスは通過。
2022年時点では、三峰口駅まで直通する急行は休日ダイヤの朝2本のみ。熊谷方面の急行はすべて影森駅始発です。

ホームは島式1面2線で、東側にある出入口は地下通路で繋がっています。
以前は地下通路入口に駅舎がありましたが、現在は解体済み。駅事務室や待合室はホーム上にあります。貨物輸送の名残もあって影森駅構内は広く、多くの側線が並んでいます。時間帯によっては貨車が停車している場合もあります。









影森駅周辺は秩父盆地の南端に位置する住宅地。
すぐ東側には武甲山が、西側には荒川が迫っており、秩父鉄道は当駅を境に沿線風景が一変します。武甲山のふもとには秩父札所二十六番の圓融寺や二十七番の大淵寺が徒歩圏内です。少し足を伸ばすと京都清水寺を思い起こす懸造りの岩井堂や、秩父盆地を一望できる護国観音があります。

影森駅から武甲線、三輪線と呼ばれる貨物線が分岐していました。
秩父鉄道は以前から貨物輸送も担っており、武甲山で採掘された石灰石を輸送していました。武甲線は1918年に貨物専用の自社路線として開業し、1984年に廃止。三輪線は秩父太平洋セメント三輪鉱業所を結ぶ専用線で、現役で貨物列車の運行があります。

三輪線の路線と武甲線の廃線跡は現在でも見ることができます。
3つの路線は影森駅から三峰口方面にしばらく並走するように敷設されています。進行方向右手が秩父本線、左手が三輪線です。中央に武甲線が走っていました。秩父本線が右カーブで掘割を下っていくのに対して、三輪線は高度を上げて左カーブで三輪鉱業所を目指します。武甲線は秩父本線と並走しながらも掘割の途中で直進するように敷設されていました。

ちょうど3つの路線が分かれていく地点に歩行者専用の跨線橋が架けられています。武甲線の線路はほとんど埋まってしまい確認が難しいですが、一部が琴平ハイキングコースとして使われているため往時を偲ぶことができます。















路線 :秩父鉄道
住所 :埼玉県秩父市上影森71番地4
開業日:1917年9月27日
訪問日:2014年11月19日