東海交通事業 城北線を旅する①~世にも不思議なローカル路線~

東海交通事業城北線は愛知県内の勝川駅と枇杷島駅を結ぶ鉄道路線。路線距離11.2㎞の短い区間をワンマン気動車が走る都会のローカル線として知られています。

東海交通事業 城北線とは?

城北線はJR東海の100%子会社である東海交通事業が運営する旅客路線です。
JR中央本線の勝川駅からJR東海道本線の枇杷島駅まで11.2kmを結んでいます。

城北線という路線名は名古屋の北側を走っていることから付けられており、短い路線ながらも春日井市、名古屋市、清須市の3つの市に跨っています。JRの子会社でありながら直通運転などは行われておらず、気動車1両のワンマン運転が基本のローカル線となっています。

城北線のここがポイント!

高架区間を走行する城北線 (2014)
城北線のここがポイント!!
  • 全線複線で高架化されている
  • なのに非電化・気動車1両での運転
  • 利便性度外視で中途半端な駅たち

城北線をひと言で表すなら、「不思議な路線」。

ほぼすべての区間が複線・高架化された高規格路線でありながらも、車両や運転本数は名古屋市を走っているとは思えないほどローカル線風情が漂っているのです。

まず、非電化なので電気で動く車両(いわゆる電車)は走ることができません。

車両はディーゼルエンジンの気動車で運行しています。また、すべての列車が1両で運行していて、運転本数は各方面毎時1~2本程度。日中の時間帯は1時間に1本が基本です。ハード面でのスペックが高いのにソフト面が地方ローカル線のようなアンバランスな仕様が城北線の特徴です。

次に、城北線は駅の立地や構造不思議です。

路線が高架化されているので、終点の枇杷島駅以外はすべて高架駅。特に味美駅と小田井駅に関しては気動車1両で運行する路線にしてはオーバースペックな構造をしています。小田井駅は地上4階建ての構造で、2階と3階フロアには何もない広い空間が設けられていたりします。無人駅で利用者も少ないのに、とても広々とした設計になっています。

JR駅と非常に離れた城北線勝川駅 (2014)

また、他社路線との接続があまり考慮されていません。

城北線は名古屋市街地に直通する列車ではないので、沿線利用者は他社線の乗り継いで都市部に向かうことが想定されます。しかし、城北線がまともに他社線に乗り継げるのは枇杷島駅のみ。勝川駅はJR駅と500mほど離れていますし、途中で交差する名鉄小牧線や犬山線との乗り継ぎも考慮されているようには思えません。なぜこのようなことになってしまったのか不思議です。

城北線の謎のカギは過去に

城北線の気動車 (2014)

数多くの不思議がある城北線。
その謎の正体は、城北線が国鉄時代に建設されていた鉄道路線と関係があります。

工業地帯の多い愛知県では貨物輸送が盛んで、国鉄時代には多くの貨物列車が走っていました。名古屋都市部では東海道本線や中央本線の旅客列車が多く走っているため、都市部に貨物列車が通らなくて済むよう専用路線を新たに建設する計画がありました。

城北線の車窓
上下線で高さの違う高架橋 (2017)

この計画路線こそ城北線の前身。計画は着工し、ほとんどの施設が完成するも国鉄末期に計画は凍結。残された路線や設備に改良を加えて完成したのが現在の城北線です。ほかに同じような来歴を持つ路線に愛知環状鉄道があります。

城北線を旅する際はこれらの謎を解き明かしたり、当時の計画に思いを馳せながら巡るのが楽しいです。城北線の謎に魅せられた人は多く、インターネットでも色々な方がレポートにまとめていますので参考にすると面白いかもしれません。

城北線の歴史については次回で詳しく触れたいと思います。

城北線の沿線と観光

城北線沿線はどんな街を走っているのでしょうか。

車内で配布していた公式パンフレットには沿線の地図と観光名所などが紹介されています。少し中を覗いてみると、沿線はほとんどが住宅地。名古屋市の郊外を走っているためベッドタウンが形成されています。

途中駅すべて無人駅で、他社線との接続がほとんどありません。そのため、駅前に商業施設などはなく閑静な住宅街が広がります。そのため、観光名所も少なく、正直申し上げるとマニアックな史跡が多いです。

公式パンフレットによれば、清須城貝殻山貝塚(尾張星の宮駅下車)や二子山古墳(味美駅下車)などが紹介されています。清須城は織田信長の居城として知られ、復元ですが天守閣があります。貝殻山貝塚は弥生時代の貝塚で、国史跡に指定。近隣には資料館もあります。二子山古墳は近隣で最大級の前方後円墳で、味美地区は複数の古墳が点在しているようです。

城北線の関連書籍

最後に、城北線を詳しく知ることのできる関連書籍を紹介します。

観光列車が走る人気の路線と比べると、城北線について扱った本は多くありませんが、城北線の謎に迫った内容や沿線の魅力について紹介している書籍はいくつかあります。

『配線で解く「鉄道の不思議」東海道ライン編』

『配線で解く鉄道の不思議』は、配線図から鉄道路線の歴史を解き明かすシリーズ本です。

著者は『全国鉄道事情大研究』でもおなじみの鉄道アナリスト。東海道ライン編では「名古屋・貨物線プロジェクト」「世にも不思議な城北線」の項目で城北線の歴史や今後の可能性について推察しています。

城北線の歴史や経緯について詳しく知りたい方にはおススメの一冊です。

『小さな鉄道のぶらり旅』

『小さな鉄道のぶらり旅』は東海地方のローカル線に焦点を当てた書籍です。

A5サイズのコンパクトな本ですが、路線ごとの歴史や寄り道スポットを豊富な写真とともに紹介していて読みやすいです。もちろん城北線も詳しく紹介されていますし、他にも伊勢鉄道線やリニモなど東海地方のマニアックな路線についても乗っているので、東海地方のローカル線旅を考えている場合は特におススメ。

姉妹本には『小さな鉄道の小さな旅』もあり、こちらと合わせると東海地方のローカル線情報はほとんど網羅することができます。



1 COMMENT

日本唯一のガイドウェイバス!ゆとりーとラインとは? | Fuji trip 365

[…] ゆとりーとラインは市街地と郊外の住宅地を走行するため、沿線の観光資源には乏しい印象。ただ、リニモや城北線と同様に高架区間が多いため、車窓からは名古屋郊外の街並みを眺めることができます。特に白沢渓谷~小幡緑地駅間は丘陵地帯を走行するため、特に眺めのよい区間です。ゆとりーとラインの公式youtubeでも車窓を公開しています。 […]

返信する

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です