今昔各駅探訪記、今回は上越線の土合駅です。
日本一のモグラ駅と呼ばれる土合駅について画像とともに紹介します。

土合駅はJR上越線の駅です。
群馬県と新潟県の県境付近に位置する当駅は、三国山脈の険しい山間地帯にあるいわゆる秘境駅。無人駅らしからぬ山小屋風の立派な駅舎もあるのですが、列車の本数は上下線でそれぞれ1日5本程度と、かなりのローカル駅です。往時は駅員もいたとか。
土合駅は「日本一のモグラ駅」としても有名です。
上り線と下り線のホームが離れた場所にあり、下り線(越後湯沢方面)ホームは地下深くのトンネル内にあるのです。
地下鉄など都市部の地下駅を除いて、ホームがトンネル内にある駅は全国にいくつか存在します。土合駅はその中でもホームから地上駅舎までの高低差が約70メートルあり、日本の深さを誇っています。ホームと地上は338mの気の遠くなるような階段で結ばれており、自力で階段を登らないと改札までたどり着くことができません。

こうしたモグラ駅が誕生することになった背景としては、上越線の複線化があります。
上越線が1931年に開通した際には、現在の上り線(水上方面)のみの単線でした。その後、1967年に新清水トンネルという10㎞にも及ぶ下り線専用のトンネルが完成し、元からあった路線を上り線専用として複線化しました。その際に、下り線の土合駅と隣の湯檜曽駅のホームはトンネル内に新たに作られることになったのです。
ちなみに土合駅は谷川岳の登山口に近いこともあって夏期には登山客がよく利用しています。
また、モグラ駅を一目見ようと訪れる観光客も近年は増えているようです。
快速列車として、多客期にはリゾートやまどりの車両で運転される「やまどりもぐら号」があります。このような観光列車は、土合駅の停車中に見学時間も設けられているため人気を博しています。

鉄道旅をする人であれば誰もが知っているであろう土合駅。
「日本一のモグラ駅」と評された下り線ホームは私もいつか訪れてみたいと思っていました。
まだ雪の降る2009年3月初旬、初めて青春18きっぷを利用して土合駅を訪れました。
当時、上越線の車両はすべてが115系。
列車を降りるときには、扉を手動で開閉するのが懐かしいですね。
朝一番の下り列車で土合駅のホームに降り立つ。
プラットフォームは2008年頃に新たに作られているため綺麗で、壁側に昔使われていたホームが残されています。昔のホームにはプレハブの待合室とトイレも設置されていました。

ホームから垂直に伸びる地下道を通るとすぐに地上へ向かう階段が現れます。
よくぞこんなに深いところに駅を作ったと感心してしまうような長大な階段です。階段の左側に細長い空きスペースがありますが、これはエスカレーターを設置する計画があって残されているのだとか。未完成のまま頓挫してしまったようですね。
階段は5段ごとに平坦なエリアがありますし、途中にはベンチが設置されているので休み休み登ることができます。比較的段差も高くないので、見た目よりも登りやすい印象です。ちなみに階段の左端には段数の合計が表記されていました。

階段を登りきっても、まだ駅舎ではありません。
ここから長い連絡通路を渡って駅舎へ向かいます。まず、かまぼこ型の通路で湯檜曽川を渡り、次にブロック塀積みの薄暗い通路を抜けて、数段階段を上がれば駅舎到着です。
無人駅のわりには広々とした待合室のある駅舎なのは、昭和後期頃までは登山やスキーシーズンには多くの行楽客が土合駅を利用していたから。1985年までは駅員も在駐していたため、駅舎内には窓口跡も見受けられました。

駅舎から上り線ホームはすぐ。
雪の降る地域なので、扉を開けてホームへ出ます。
上りホームは単線時代には上下線が走っていたため、構内は広いですが現在は1面1線しか使用されていません。屋根のない簡素なホームとやけに幅の広い架線柱が印象的でした。


















住所 :群馬県利根郡みなかみ町湯檜曽
路線 :JR上越線(高崎支社)
訪問日:2009年3月9日